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『屏風の修理・修復①』

屏風の作成や修理・修復は工程も多く非常に手間のかかる表装と言えます。
近年、屏風の需要が掛け軸などに比べ非常に減っているためか屏風本体を本格的に作成できる職人も少なくなっている現実も御座います。
今回はお客様のご理解もあり、出来るだけ詳しく屏風本体の作成から本紙の修理・修復をご紹介できたらと思っています。
ご紹介する屏風の画は金箔に花鳥画として花・鳥・川などが6曲(6枚)に迫力のある1枚の花鳥画として描かれています。画の作者や年代は不明ですが過去の修復跡や傷みの状態から前回の修復から150年以上は経過しているのではないか、実際にこの画が描かれたのは江戸中期頃ではないかと推測いたします。

修復前の現状写真をご覧ください。

屏風や襖絵の本紙の素材に泥入り間に合い紙が多く使われています。
その理由として掛軸のように巻かない事、泥を漉き込む事で害虫から作品を守るためとも言われています。
この作品は泥入り入り間に合い紙に薄いとは言え金箔と言う金属を害虫は時間をかけゆっくりと食べて重大な傷みを与えてしまっています。

白く写っているのは白カビです。

前回の修復で写真では分かりずらい破れ(かなり大きな破れなど何か所も存在している。)
絵具の剥落や虫食い、カビなどこれから時間をかけ修復過程を紹介したいと思っております。