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『掛軸の修理・修復(雨宝童子)⑤』

補彩・今回の欠損部分の修復は画として違和感の無いようにあらかじめ補紙を染めたり古色に染めた補紙を使用し出来るだけ補紙が目立たないように補彩を行う事をお客様とご相談し進めてまいりました。
経過年により自然についた古色を人工的に作り出す事は非常に困難です。
少しでも違和感の無いようにと何度も何度も薄く色付けしていくと気が付くと補彩の方が色が濃くなってしまう事があります。
基本はオリジナルより濃くならないようにするのですが、どの時点で止めるか非常に難しいところです。
童子のお顔の口元に走る横折れから白色(胡粉)が線上に細かく剥落し黒く線が走ったように見えます。
お客様もお顔と言う事で大変気にされており「目立たなくしてほしい」とのご希望が御座いました。
しかしながら白色は特に難しい色で通常の白では綺麗すぎて逆に目立ち、古色にしようとすると鼠色・グレーの色になってしまいます。
そのことはお客様にもご説明し「出来る限り」と言う事でお話をさせて頂きました。
お客様とは修復方針やご予算・納期など何度かメールのやり取りをさせて頂く中でこの
「雨宝童子画」に対する思いが大変伝わってきました。
限られた時間や予算の中でも、お客様の思いに少しでも応えたい、喜んで頂きたいと思うのが職人です。無心で作品に向き合う事ができました。
私たちの仕事に完ぺきは御座いませんが、出来る限りの修復は出来たと自分なりに納得のいく仕事が出来たと思っております。

修復前
補紙・補彩修復後
修復前
補紙・補彩修復後
修復前
補彩前
補紙・補彩修復後