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『額装 修理・修復(絹本水墨画)①』

今回は額装の修理、修復についてご紹介したいと思います。
修理・修復のご依頼を頂く古い額装は「欄間額」「扁額」「和額」などと言われている物が多く、修理に持ち込まれるほとんどがガラスやアクリル板は入っていません。
と言う事は!365日空気にさらされホコリや場合によってはタバコや料理の時の煙を本紙は吸っているかも知れません。
また夜以外は日光の光や電気の光にさらされています。
掛軸と比べてみましょう!昔は掛軸は四季折々に掛け替えたり、大切な掛軸は来客のある時だけ飾ったりしていました。
額と比べるとはるかに空気や光にさらされる時間が短いと言えます。
(一幅の掛軸を何十年も掛けっぱなしと言う事もありますが・・・)
さて本題に戻りますが紙や絹が劣化して傷む最大の原因は光の中の紫外線と言われています。そのため美術館や特に博物館などでは照明を暗くし最低限の光で作品を守っているのです。
光によって酸性劣化した紙や絹の繊維は目に見えない世界で破壊され突然作品が裂けたりします。
そんな一例を下記の絵絹に画かれた水墨画(梅の図)でご紹介いたします。

本紙である絵絹はもちろんの事、裏打ち紙まで劣化は極限に達し、気が付くと本紙が裂けてしまう!と言う事がよくあります。(上部中央は欠損して本紙がありませんでした。)
写真は裏打ち紙を剥がしている所ですが、水分が加わった裏打ち紙は紙ではなく泥状態です。
紙の繊維は破壊されピンセットでつまむことも出来ません。
自分で作った道具で本紙を傷めないように絹と和紙の間に刃先を入れ少しずつ持ち上げます。
気の遠くなるような作業で根気との勝負。
左の写真・指の上の物は剥がした裏打ち紙です。
指と指で軽くこするだけで泥状態となり、見ての通り紙の繊維はまったくありません。
  • 今回のケースのように裂けていない状態でも劣化が限界に達しているケースは掛軸より多く存在します。額の修理・修復は見た目以上に困難を要することが多いのです。
    修復後の写真は納品後に公開いたします。