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『掛軸表装・修理・修復に重要な和紙』

掛軸表装に使用する和紙
掛軸の表装に使用される3種類の和紙

掛軸の表装や修理、修復時に欠かせない最も重要な材料は裏打ちにに使用する和紙と言っても過言ではありません。今日はその和紙について簡単ではありますが少しお話したいと思います。
掛軸を表装する時、通常3回の裏打ちが必要となりますが、最初に使用する和紙は「薄美濃紙」2回目は「三栖紙」3回目が「宇陀紙」基本的な原料はすべて楮繊維で漉いた和紙となり厚みや配合している物などが異なります。

*薄美濃紙=楮繊維で「世界で最も薄く丈夫な紙」と呼ばれています。

*三栖紙=楮繊維で胡粉(貝殻の粉末)が漉き込まれていて柔らかく透け止めの効果  もあると言われています。

*宇陀紙=楮繊維で白土が漉き込まれており柔軟性と強度を兼ね備えており害虫にも強く保存性の高い和紙と言えます。

この様に和紙にもそれぞれの特徴があり先人の経験と知恵によって掛軸の表装に最も適した和紙ととして掛軸表装や修理修復に欠かせない材料となっております。

しかしながら良質な和紙、粗悪な和紙、同じ名前の和紙でもピンからキリが有る事も知っておかなければなりません。
例えば主原料である楮と言う植物が国内で栽培された楮か中国やタイで栽培された楮か?繊維を綺麗にするために、ちりを人間の目と手で細かく取り除くなどの手間を掛けるているか、薬品で漂泊してしまうか、その薬品も強い物、弱い物とあります。
手漉き和紙か機械すき和紙か?中にはパルプの混合された和紙も御座います。
乾燥方法など様々な工程で異なりますが実は先ほど申し上げた三栖紙・宇陀紙は伝統的な技法で良質な和紙を漉いている職人さんが少なく、この2種類の和紙に関しては、この技術を継承し和紙を守り伝えるために、それぞれ1名づつ国が選定保存技術者と認定して守っています。

今回は和紙について簡単にお話させて頂きましたが実は他にも表装・修理修復に欠かす事の出来ない材料を作る職人が年々少なくなり危機的状況とも言えます。時代と言えばそれまでですが・・・色々考えさせられます。